2008年11月03日

Pちゃんと名付けた時点で食用ブタでは無い

初の先生役、妻夫木聡「難問ですが子供たちと一緒に考えました」『ブタがいた教室』
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=655072&media_id=25

本日の映画2本目。

2本も続けてみるのは若い時以来だぁ〜。

僕は今年もB大学の中等教科教育法の非常勤講師ということで、
B大学のK準教授さんのことは書きづらいのですが、
同時にR館大学の道徳教育1を担当する立場から言いますと、
話の内容は知ってはいましたが、「教師」への誤解を招く大変な映画かな、と・・・。

もう、途中の学級討議のシーンなんかは、
方向性の間違った道徳の公開授業を参観しているようで、イライラしっぱなし・・・。
 (これは映画なんだよ、と自分に言い聞かせて、心を落ち着かせ続けました)


妻夫木が教師を演じているので話題であり、マスコミは何にも批判はしてないようですが、
以前にたけしの教育白書で取り上げていて、いろいろなコメントがあった中で、
たけしが
「いきなりブタはないよ、最初はヘビ・カエルから」
というようなことを言っていたのですが、
当にそうなんですよね・・・・。

道徳教育の指導項目では、
指導要領の内容 3 (これは中学校、小学校でもほぼ同様)
「主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること」の(2)
「生命の尊さを理解し,かけがえのない自他の生命を尊重する」
とありまして、生命を尊重については道徳の時間のみならず、
他の色々な場面で指導していくワケなんですが、
先述のたけしの発言ではないですが、
いきなり難解な問題を小学校の6年生で取り上げるには無理があるのではないかと思います。

しかも、映画でも表現されていましたが、
指導された先生が、最初からしっかりとした指導の到達点を持っていない、
というナンセンスさがあるのです。それが大変危ういところ・・・・。

行き当たりばったりで教育の実践は行うべきではないのです。
なぜなら、教育の実践の場には必ず児童・生徒が居るからなんです。

その児童・生徒にプラスになる指導の計画(堅く言えば指導案)があってこそ、
やっと実行しても良い「授業」と言える価値のあるものなのです。

クラスの意見が「下級生のクラスに飼育を続けてもらう」と「食肉センターに送る」と二分した後、
結局は担任であるKさんの判断により、最後の1票として「食肉センターに送る」となり、
Kさんは涙を流して「Pちゃんにトマトを贈ろう」なんて、
トラックに積まれたPちゃんにトマトを贈ったりするのですが、
その涙の意味は何なのでしょうか・・・・。
涙を流して見送ったなら、許されることなんでしょうか・・・。

「子どもたちに話し合いをさせて決めさせる」
という教師の姿勢が映画にも出てきますが、
子どもたちに判断させる前に、
十分なシミュレーションを指導者である教師はやらなければいけません。
どんな意見が出るのか、それは何故なのか、
意見のそれぞれに指導者はどの様に受けてどの様なコメント・支援・指導をするのか・・・・。

先に書きましたが、行き当たりばったりの指導ではダメだと言うことです。


この指導で、もちろん命の大切さを学んだ子は多いと思うけど、
同時にとにもかくにも「傷ついた」子らが居たのではないかと危惧してます。
多分、マスコミなんかは
「あの授業を受けて、良かったです」
と言うような元児童のコメントしか流さないでしょうね。


・・・・・・・・、映画の脚色でしょうが、あの学校の校長さん、「何でもやらせる・許す」という、
物わかりのイイ校長として登場していますが、あまりにも安易だと思いますよ、
もちろん映画中のことです。

ということで、辛口の意見でした。
あの映画を見て、「やってみよう」と感じてしまう教師が居たら、
よく考えて実施してね、と言いたいです。

Trackback on "Pちゃんと名付けた時点で食用ブタでは無い"

このエントリーのトラックバックURL: 

"Pちゃんと名付けた時点で食用ブタでは無い"へのトラックバックはまだありません。

Comment on "Pちゃんと名付けた時点で食用ブタでは無い"

"Pちゃんと名付けた時点で食用ブタでは無い"へのコメントはまだありません。

Post a Comment

コメントする

(HTMLタグは使用できません)
ブラウザに投稿者情報を登録しますか?(Cookieを使用します。次回書き込み時に便利です。)
  •  
  •